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電磁波とは

「電磁波」とは何か

「電磁波」とは何か

電磁波とは、岩波「理化学辞典」によれば真空または物質中を電磁場の振動が伝搬する現象をいいます。電気と磁気の両方の性質をもつ波と理解してよいでしょう。この電磁波は、電化製品や送電線など様々なものから発生していて、電気の流れているところでは必ず電磁波が発生します。

また、電気の影響が及ぶ範囲を「電場」といい、磁気の影響がおよぶ範囲を「磁場」といいます。

「電磁場(電磁界)」
「電場(電界)」
「磁場(磁界)」

この電場と磁場がお互いに影響しあって、電磁波の流れ(波)が作られているのです。

電磁波の種類

電磁波といってもさまざまな種類が存在し、単位は周波数で表わされます。下記のように様々な電磁波が存在しますが、現在問題視されているのはマイクロ波やの低周波の電磁波です。これはテレビ、電子レンジ、蛍光灯、パソコンなどの電気製品から発生していて、人間の健康を害すと言われています。

低周波のものから高周波のものまで多く存在する

電磁波の種類には、波長の長さにより大きく分けて放射線、光、電波と3つあります。光は波長が 1mm から 2nm 程度のものを指し、波長域によって赤外線・可視光線・紫外線に分けられています。放射線では、波長が1nm以下ではX線、10pm 以下ではガンマ線と呼びます。

下に行くにしたがって低周波になりますが、波長自体は長くなります

電磁波と周波数

日本の電磁波事情

日本は先進国としては、電磁波問題が非常に遅れています。アメリカなどの特定の州では、送電線から400m以内に学校などの施設を建設できなかったり、日本の携帯電話と違って、海外の携帯電話と電磁波規制レベルが違います。アメリカは、0.1mm以上のシールドが施されています。

送電線

バウビオロギー(建築生物学)の専門家からみた「5G」

5Gでスピードアップ?!

移動通信の第5世代は「ギガバイト社会」の基礎


100年ほど前には動力の「電化」は、進歩と同義語であった。それが今日では政治と経済の世界で、情報とコミュニケーションの技術を「デジタル化」することが念仏のように唱えられ、「ギガバイト社会」への道を進んでいる。すなわち「デジタル化できるものはすべてデジタル化し、ネットワーク化する」〔1〕

5Gに必ず付きまとうのは:「ネット」

「ネットワーク化」という言葉で、銅線の束を指す時代はとっくに過ぎ、現在それが意味するのは、最速のグラスファイバー技術とほとんどどこでも使える無線システム、特にこの25年間で急速に成長した移動通信を、切れ目なく使うことである。第5世代(5G)がもうすぐ導入されることによって、移動通信の意味は、数年前には考えられもしなかったものに変わりつつある。移動通信と固定網の分離はなくなったも同様で、ほとんどどこにでもある「ネット」しかなくなるであろう。よい意味でも悪い意味でも無限の可能性のある国は、もはやアメリカではなく、「ネット」となるであろう。

5G:無線システムの全く新しいクォリティー

移動通信はもともと、固定接続のないところ、道中で移動しながら電話をする、後にはインターネットを使うことを可能にする、という目的で出てきた。それが広まっていくにつれ、固定接続は携帯電話やスマートフォンによってまずは補われ、そしてさらには取って代わられるようになった。携帯電話とスマートフォンは、人間・ユーザー・端末によって使われる。 5Gによりこのシナリオは大幅に変わるであろう。人から人へのコミュニケーションと並んで、人と機械の間、あるいは機械から機械へのコミュニケーションが急激に増える。もはやもともとの意味での「移動通信」ではなく、無線の「ネット」、それには無限の容量があるかのように見え、あらゆる種類のデータ通信の限りない可能性が、屋内であれ屋外であれであれ使えるかのようである。まるで呼吸する空気に慣れているのが当たり前であるかのようである。

移動通信の系図

第1世代:アナログ技術
移動通信システムの最初の世代となるAネットとBネットは、前世紀の1960年代、70年代、80年代に構築され、使用された。当時これは「自動車電話」とその本質を表して呼ばれ、自動車内に組み込まれたその機器は、大きさ、重さ、電気消費量から言って、携帯電話やスマートフォンの第2世代、第3世代、ましてや第4世代とはかけ離れたものであった。機器の価格や電話料金は言うまでもない。「定額制」というのは当時、誰も知らない言葉であった。そのため自動車電話は、特に重要な、あるいはそれだけでなく裕福なエリートビジネスマンが職業上使用するのに限られており、今日の携帯電話のようなマスメディアとは、対極に当たるものであった。技術は、当時可能であった純粋なアナログである。
Cネットの導入により、1984年以降、デジタル化に向けての第一歩がなされた。言語通信はまだアナログであったが、システムの制御データはデジタルに移送された。Cネットは初めてほとんどの地域をカバーしたことにより、そしてまた価格が大幅に下がったことにより、参加者の数が増えた(2000の基地局があるインフラで約100万人)。その理由にはもちろん、機器がどんどん小さくなって携帯することが簡単になって、簡単に持ち運びできる「携帯電話」と呼べるようになったこともある。

GSM、第2世代 ここからすべてデジタルになる
言語通信を含む完全にデジタルな技術が開発され、移動通信システムが出来上がり、1992年以降市場に導入された。それは便利さ、性能、費用において、古いアナログシステムをあっという間に凌いでしまった。GSM(Global System for Mobile Communication=移動通信のためのグローバルシステム)は、携帯無線システムの第2世代であり(2G)、ドイツではD-Netz(Dネット、GSM900)、E-Netz(Eネット、GSM1800)としてよりよく知られている。これが突破口となって、移動通信が一般に広まることになった。それには地域をカバーして操業するのに必要な、おおよそ45000の基地局が建設されたことを伴う。GSMの信号の特徴は、TDMA(Time Division Multiple Access=時分割多重化アクセス)という方法である。これは8個までの端末が一つの周波数を共有し、信号を周期的パルスにする。

UMTS、第3世代 高速データ伝送
電話をすることが、携帯電話の「二義的使用」になるのに、時間はかからなかった。SMS、ゲーム、写真やデータを受信・送信、インターネット使用、などのために、転送速度とネット容量がますます大きくなる必要があった。比較的機能性の低い「携帯電話」が、多くの新しい機能を備えた便利な「スマートフォン」になった。アップル社のiPhon第一号が、その突破口である。
通信システムの第3世代(3G)として、長いことスムーズにはいかなかったのだが、2000年の伝説的な周波数競売の後、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System=ユニバーサル移動体通信システム)が、激しく競われ、今では重要な経済要素の一つに成長した移動通信市場に参入した。これは人々の社会的行動、特に若い世代にはっきり形跡を残した。UMTSによってドイツ人に、統計的に初めて100パーセントを超える割合で、移動通信が浸透したのである!UMTSの無線伝送は、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access=広域周波数帯分割多重アクセス)の方法で行われ、GSMとは全く異なる原理である。そのためシグナルの性質も、まったく異なっている。
「普通の」UMTSも、すぐに遅すぎることになった。そこで転送速度を速めるために、「ハイスピード」バリエーションのHSPA/HSPA+(High Speed Packet Access=高速パケット通信アクセス)が開発され、短期間で導入された。

LTE、第4世代
EUの合意のもとにドイツ政府が推進する、人口密集地帯ではないところに住んでいる人のためのブロードバンドの供給に合った、もっと速いシステムが必要である、という声が再び上がった。業界からの回答はLTE(Long Term Evolution)であった。そのための周波数は、ドイツでは2010年に競売され、移動通信システムの第4世代(4G)として市場で売られている。そこではまた新しい、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access=直交周波数分割多重化アクセス)という信号の性質を持つ無線技術が使われたのである。
LTEを移動通信の一つの世代に区分するにはしかし、異論があるようだ。たいていは第4世代に、時々は第3世代に区分されるからである。しかしそれはマーケティング戦略として、まだ本当には約束を果たしてくれない技術が宣伝されるからに過ぎない。LTEは、ITU(International Telecommunication Union=国際電気通信連合)が確定した技術的な性能特徴を見ると、UMTSやHSPA/HSPA+と同様、移動通信の第3世代に属する。
LTEの標準では、スペクトル効率やチャンネル帯域利用などが、ITUの4G標準を満たすのに足りない。そこから考えると、LTEは最大でも3.8Gあるいは3.9Gとすべきものであるが、マーケティングの観点から通常4Gと称される。潜在的顧客がそれによって、より高い転送速度や高性能の技術と結びつけるからである。LTEの拡張段階である「LTE-Advanced」になって初めて、「本当の」4G技術となり、ITUが要求するものを、この移動通信世代は完全に満たしている。
世代「数」が増えるにつれ、転送速度、データ転送量、ネット容量は大きくなる。この三つの大きさは、今までの、そして将来の新しい世代を開発するための、根本的な原動力である。この目標に到達するために、帯域がどんどん大きくなっていった。GSMでは200KHzであったのが、UMTSでは3.84MHz、LTEでは5、10あるいは20MHzである(図3)。LTEではすでに複数のチャンネルを並行して束ねることができ、総帯域を40MHz、60MHz、あるいはそれ以上に高めることができる。

図3:2Gから4Gの移動通信システムの帯域

2Gから4Gの移動通信システムの帯域

5G: 政治的に望まれるもの

包括的なデジタル化と、それに伴って5Gを広域で導入するということは、まず第一に政治的に望まれており、重要な目標であると声高に叫ばれている。
連邦交通・デジタルインフラストラクチャー省(BMVI)は、「Netzallianz Digitales Deutschland(デジタルドイツ ネット連合)が率先する枠内で、「ネット拡張 2016」という方針書の中ですでに、ドイツは、ギガバイト社会へと発展するために必要なインフラを作り出す、という挑戦を前にしている、と公言している。
「高い性能で、しかも移動中に使えるネットワークが増加することにより、必要に応じた周波数を供給することに対する要求が、常に上昇している。特に挑戦となるのは、5Gをさらに開発することである。」
連邦経済・エネルギー省(BMWi)はその「デジタル戦略 2025」の中で、次のような目標を挙げた。
「大容量、どこでも使える、低遅延という三つの要求にこたえる、将来性のあるデジタルインフラストラクチャーを作り上げること」
連邦ネットワーク庁(BNetzA)は、次のように言っている。
「ドイツはデジタルインフラストラクチャーで世界の頂点に立ち、5Gの先導市場になるべきである。新しい移動通信世代である5Gは、革新的なサービスと使用(産業4.0、自動運転、モノのインターネット)の開発を促進するべきである。そのために周波数を、早期に要求に応じて準備する。それによってドイツがこの技術発展に置いて前進するためである」

5Gの技術的目標

上記の政治的意志から、5Gに対して以下のような技術的目標設定が生じる。
― 大容量データとIoT(Internet of Things=モノのインターネット)のための非常に多数の接続、スマートXの使用のための、最高の転送速度と容量
― 通常システムが素早く反応するための最低遅延(自動運転、産業製造プロセス、医療のリモート手術)
― ほとんどどこでも使える
遅延時間は、技術によって制限される遅れで、データ移送が要求された後に始まるまでの時間である。5Gの枠内では、遅延時間は10Ms(ミリ秒)を大きく下回ることが目標とされており、できれば1Ms前後が目指されている。

図4:5Gの技術的目標
目標
上に述べた目標は、部分的には矛盾がある。「そのためには5Gはどれも同じではない、ということを頭に入れておく必要がある。5Gという名前の下に要約されているのは、様々な移動通信技術を集めたもので、それぞれその応用目的に合わせて設定される。使われている周波数、可能な帯域、もちろん遅延の許容に関しても違いがある。」
それぞれの目標に到達するために重要なのは、中枢あるいは局地的クラウド解決法やエッジコンピューティングなど、IT周辺の構成である。

例:5G事業者ファーウェイのビジョン

5G移動通信は準備が整っており、経済を変革するだろう。

5Gは使う準備が整っており、深層にまで及ぶ変化をもたらすだろう。しかしまだ障害がいくつかあり、それに対して世界の政府はしなければいけないことがある、とファーウェイの輪番CEOであるケン・フーは言っている。
ファーウェイの輪番CEOであるケン・フーは、5G移動通信がやってくると、ロンドンでのグローバル・モバイル・ブロードバンド・フォーラム(2018年11月20-21日)の開会にあたって、そのキーノート講演で述べている。
『どの観点から見ても5Gは準備が整っている』と彼は述べた。『すぐに使用に耐え、価格は高くなく、何と言っても需要が現実的である。もちろん5Gを使うにあたり、まだいくつかの障害がある』
ファーウェイはすでに1万基の5G基地局を納入した。「5Gは技術革命を起こすだろう」とフーは言う。またさらに『情報通信技術すべてに新しい力を与え、経済においては深層にまで至る変化を引き起こすであろう。今までに見たことのない新しい可能性ができるであろう』
ケン・フーは5Gがもたらすであろう五つの基本的な変化を予告する。

1.5Gは接続をプラットフォームに変換する。5Gはどこにでもあり、切れ目がなく、限界のない接続を、すべての人とモノにとって可能にしてくれる。

2.すべてはオンラインになる。今のところ、たいていのモノは標準的にオフラインであり、たいていの電子機器は接続されていない。5Gによりオンライン、接続されていることが、すべてにとって標準となる。

3.世界はクラウドの中に入る。5Gでアップロードされたクラウドは、巨大な計算能力をあっという間の通信速度で、ほぼ遅延なく提供してくれる。それによりオンデマンドインテリジェンス(必要な時に呼び出せる知能)が、誰にでもどこでも使えるようになる。

4.機器が新しく定義される。機器、ネットワーク、クラウドがAIに援助されて、機器はプラグ・アンド・プレイ(つないだら実行する)からプラグ・アンド・シンク(つないだら考える)に移行するであろう。機器は使用者をよりよく理解し、私たちの欲求を、受け身だけでなくアクティブに予想するだろう。コマンドに反応し、私たちと自然なやり方で相互に作用するであろう。

5.結果は切れ目なく出てくるだろう。現存のネットワークでは、私たちのオンラインでの経験は、一つのシナリオからもう一つのシナリオへとつながっていない。すべてのモノがオンラインで、クラウドを基礎にしていれば、体験と内容が、切れ目なく時間、空間、機器を通じて流れ、すべてのシナリオを通じた本当に総体的な体験となる。
ケン・フーは、周波数の割り当てと立地の準備に関わる挑戦についても話した。特に移動通信の事業者には、スペクトルのため資源がなかった。準備を速めるには、大きな5Gスペクトルの継続的なバンドを調整し、許可するプロセスを、4Gの総額より少ない額で速めることを、政府に勧めた。『その間には、Cバンドだけでなく、すべてのバンドが5Gに使えるようになる。2.3GHzと2.6GHzのバンドも含めてである』と彼は、聴衆の中の移動通信事業者に対し示唆した。

『立地に関して言うと、ネットワークを準備するというのは金のかかるビジネスである』と彼は続けた。『もっと多くの公共資源をその場で使えるよう、政府に対して勇気づけたい。屋根や街灯と言った共通の供給インフラは、事業者にとっては費用と時間を節約するのに役立ち、それだけではなく地方公共サービス会社にとっては、収入源を生み出すことになる』」

新しい周波数で目標を達成する

より大きい転送速度は、より広い帯域によって到達できる。3GHz以下の周波数領域ではしかし、もう長いこと場所がほとんどない。そこで3GHz以上の領域に行かなければならない。また帯域のパーセントが同じである場合、周波数が大きくなると、絶対的な帯域が増す。1GHzの10%は100MHzである。20GHzの10パーセントはそれに対し、もう2GHzになるのである。
周波数が増すとしかし、電磁波の自由空間パス損失も増し、材質(建物の外装など)を通る能力は大幅に下がる。大きい周波数では到達距離も下がり、通信可能セルも小さくなる。そのため基地局が端末により近くなる。同時に、より小さなセルによって、そのエリアで使える容量が上昇する。5Gではエリアの大きさを100m、あるいはそれどころか50mにするというところで議論されている。つまり50mあるいは100mごとに基地局を設置しなければならないということである。
同じことは遅延時間をより短くするという目標にも当てはまる。電磁波は非常に大きい、しかし300,000㎞/sという上限のある速度で広がる。そのため遅延時間を短くするには、距離が小さくなくてはならない。 上記の効果により、5Gでは基地局が、より高い通信塔と屋根の上の設置と並行して、非常に広範に「スモールセル」として、通りや家の前に立ち並ぶことになる。今まで2Gから4Gの携帯無線のマイクロセル、あるいはナノセルで知られていたものと同じである。

図5

ホットスポット ホットスポット2
これらは非常に容量の需要が大きい領域に作られるもので、大都市の歩行者天国、見本市会場、サッカー競技場などが例に挙げられる。通信塔、建物、工場の煙突などではなく、5G基地局は主に街灯、信号、広告塔、家の壁の数メートルの高さのところに、多数取り付けられる。その他には分電箱、特に多機能箱に付けられることが増えている。

図6
多機能箱


この多機能箱は、「電話網」がIP/VDSLに転換されるに伴って、大量に設置された。今でもまだ設置されているが、これはネットのプロバイダにとても好まれている。既に230Vのエネルギー供給があるだけでなく、グラスファイバー網へのデータ接続があるからである。
図5:メンヒェングラートバッハの歩行者天国にある、LTE移動通信(ホットスポット)のマイクロセル 図6:ベルリン・マリエンフェルデにある多機能箱(屋外用)。マイクロセルを設置するのに完ぺきな準備が整っている。〔9〕
多機能箱などの上あるいは中にある基地局ではしかし、人がかなりの距離を保つということが保証されていない。こういった人に近い設備の場合、アンテナ表面に触れそうになることがある。これは連邦放射保護条例第26条(BImSchV)による限界値保守から見て、問題になりうる。そのような基地局の近くでは、送信能力が10ワット以下であるので、連邦ネットワーク庁の立地証明が必要でないにもかかわらず、距離がもっと離れている今までの通信塔や屋根上の設置よりも、はっきりと強い場が生じる。周波数が2GHz以上で性能が10W EIRP(equivalent isotropically radiated power)という場合、61V/mというBImSchV 26条の限界値は、アンテナから28㎝離れたところで到達する。
5Gのマイクロセルのもう一つの効果は、通信塔や屋根上に設置されている場合、建物の下の方の階や地上階は、上の階に比べてずっと照射度が低いということである。通りにあるマイクロセルでは、この関係が逆転する。

2019年春の5G周波数競売

連邦ネットワーク庁は2019年春(2019年3月19日にスタート)に、周波数の競売を始める。移動通信事業者が5Gに必要な周波数を得られるようにするためである。
競売に際しては、以下の通りの周波数領域がある:
― 2GHz以上のUMTSの領域にある5MHz幅の周波数ブロックが8個。この領域では、今までのUMTS使用が2020年に終わる。
― 3.4GHzから3.7GHzの領域の新しい周波数
競売に参加が許可されたのは、以下の事業者である。
― ドイツ テレコム
― ボーダフォン
― テレフォニカ
― ドリリッシュ ネッツ 
上記の最初の三社は一般に知られており、すでに長いこと2Gから4Gの移動通信網を営業しているが、「ドリリッシュ」という名は、ほとんど知られていない。しかし「1&1」というもう一つの名ではよく知られている。

ドイツ全国に浸透している移動通信事業者のための競売に加え、3.7GHzから3.8GHzの領域のために、局地・地方で使うための申請方法が開発された。「それによって、将来周波数が必要になる地方のプロバイダ、小さなあるいは中くらいの企業やスタートアップも、また地方自治体や農業と森林業の代表者も、これから訪れる移動通信世代5Gの可能性を、経済及び産業に使用することができ、地方での移動通信供給を改善できる」
それよりもずっと高い26GHzという領域でも、申請方法が作成されている。つまりこれらの周波数も、3.7GHzから3.8GHzの領域のように、知られている移動通信事業者に競売されるのではなく、上に挙げたターゲットグループが申請後、連邦ネットワーク庁が許可する。
もっと将来には、26GHzから86GHzというより高い周波数も、5Gで使えるようにすべきであると考えられている。そのためにはしかし、担当省庁間での包括的国際的な調整が必要である。 将来的に予告されている26GHz 及びそれ以上の周波数では、波長が10㎜から3㎜(ミリ波)である。これらは建物の壁を通ることがほぼ不可能である。
移動通信に批判的な医学者は、このような短い波長に関連する生物学的効果は、皮膚の最上層で起こるということを挙げている。それは連邦放射保護法第26条の限界値の基礎になっている、純粋に熱効果のモデルでは、カバーされていない。

5G無線ネットワークの基礎

「5G移動通信には、第4世代(4G)の無線のLTEサービス(Long Term Evolution)を基礎にして、より大容量のデータを明瞭により速く、遅延は一ミリ秒以下の領域で転送する、ということが期待されている。4Gでは移動通信網は、最高速度1Gbit/sまでの速さでデータを転送する。5G無線網ではしかし、その能力は大幅に上がり、10Gbit/sまでの速さでデータを送ることができる。それは有線によるコミュニケーションの速度に匹敵する。
ネットワークが応答する時間を削減することにより、さらに重要な進歩がある。結果として5G構造は、新しい技術のための相当な可能性を含む。リモート・オンライン外科、マシーンラーニングやAI、バーチャルリアリティ・拡大リアリティ、モノのインターネット
(IoT)などが例として挙げられる。
5G無線サービスのタイプ
5G無線が商業的に展開される時が迫ってくる中、移動通信事業者は、新しい5Gサービスの二つの基本形を広げる準備をしている。一つは固定無線ブロードバンドで、例えばドイツ テレコム は2019年以降それを使おうとしている。二つ目はモバイル5Gセルである。これはいくつかの市場では、やはり多分2019年以降使えるようになるであろう。この技術は一般的に移動して使うにも、あるいは特にモバイル無線使用にも向いており、2020年以降全般的に使えるようになるであろう。アナリストたちは、2025年までに事業者は、5G無線を完全にどこでも使えるようにすると考えている。
以下に、5G無線サービスのこの二つのタイプが、どのように機能するかを述べる。
固定無線ブロードバンド5G:このサービスは(単に固定無線とも呼ばれる)、企業および個人のために、インターネット接続の最後の部分を、有線ではなく無線信号でその場で可能にするものである。固定無線ブロードバンドを可能にするには、プロバイダは5G NRと呼ばれるものを、小さな無線セルの立地に設置する。例えば街灯や電信柱である。それによって信号が、建物や住居の中に設置されている無線のモデムに届く。それにより、光ファイバーや電線などで、直接建物の中に固定した接続をする必要がなくなる。

5Gモバイルサービス:事業者はさらに、Evolved Packet Core LTE-Advanced の次の開発段階によって可能になる、5Gの移動通信サービスを計画している。アナリストたちは、移動通信事業者が2019年第一四半期の終わりごろには、5Gモバイルサービスを使えるようにし始めると予想している。

企業内での5Gワイヤレス

企業にとっての5G無線技術への展望は、事業者が5Gワイヤレスネットワークの展開を終えるまで、まずは約束に過ぎない。5G無線単位が設置され、5Gに合ったインテリジェンスのある機器が使えるようになったら、企業が5Gサービスの様々な使用法を開発することが期待される。
ニューハンプシャー州ハンプトンにあるTechnology Business Research Inc.のテレコミュニケーションアナリスト部長であるクリス・アントリッツは、フォーブス・グローバル2000の大きな会社が、2020年以降5Gサービスを展開する第一号となるだろうと考えている。企業の領域でこれがもっと広がるのは、それよりも遅い2025年から2030年となるであろう。
5Gワイヤレスネットワークの展開に対応することができようにするために、いくつかの企業では取締役や他のITマネージャーが、5Gの高能力と小さな遅延を利用して考えられる使い方について、考えを巡らしている。

5Gの恩恵を受けるのは誰か?

MarketsandMarketsによると、5Gインフラストラクチャーのマーケットには、2020年に29億USドル、2026年までには34億USドルという、大きな成長の可能性がある。
理由は、移動データサービスに対する需要、産業の自動化、そしてコミュニケーションネットワークにおけるソフトウェアの使用が上昇することである。
健康産業、ファイナンスサービス分野、エネルギー供給事業や他の社外での仕事のある企業など、遅延が少ないことと転送能力が大きいことが重要な産業にとっては、5Gワイヤレスネットワークが相当な影響を及ぼすことになるであろう。特別なコミュニケーションや製造プロセスが必要な会社が、まず第一にこの利点の恩恵を受けることになるだろう。
フィンランド、オウルの5G開発センターの技術者は、たとえば5Gの使用ケースを開発している。5Gを使うラジオ放送のようなコミュニケーションのアイデアを研究し、卒中患者のリハビリをヴァーチャルリアリティによって行うなど、健康産業で使う方法を開発している。」

スマートアンテナ・MIMO・ビームフォーミング
5Gにおける本質的な技術革新の一つは、「スマートアンテナ」を使うことである。今までの移動通信アンテナが主に「機械的ハードウェア」からできているのに対し、「スマートアンテナ」ではそれに電子部品とソフトウェアが加わる。それにより、今までのように一度設定された方向に送られるだけでなく、ネットの局地的な使用における現状に合わせて、主な送信方向を動的に変えることができる。スマートフォン使用者が「スマートアンテナ」の範囲内で動くと、アンテナの方向性の変化によって、主要放射がついていくのである。この性質は「ビームフォーミング」とも呼ばれる。
ビームフォーミングは技術的には、小さな個々のアンテナを多数、上下左右に並べて使うことで可能になる。これは「アレイ(配列)」と呼ばれる。5Gに典型的なのは、8x8=64のアンテナである(図8)。この個々のアンテナはしかし、別々に作動するのではなく、一つの総合アンテナの様に作動する。例えば個別であるが同じ送信信号を持つアンテナを、個別に位相をずらして制御することにより、個々の波の正面が重なることによって生じる、発信された波全体の方向特性が制御される。
またそのようなアンテナは、一つだけではなく、同時に複数の主放射に照準をあてられるので、室内のいろいろなところにある同じ周波数の複数の端末に、周波数を供給することができる(SDMA Space Division Multiple Access空間分割多重化アクセス を使う方法)。これにより移動通信セルの容量も、大幅に上昇する(現在のところ8倍まで)




図8:「スマートアンテナ」の外側を外したところ、アレイが見える(左)。
ふたをしたところ(右)(出典:Ericsson 、Youtube) 。

この方法はマルチユーザーMIMO(Multiple Input Multiple Outoput)と呼ばれ、この形では5Gで初めて使われた。 そのためこの技術に関する経験がまだ不足しいる。室内領域で場の強さが、大きくなりすぎることがあるかどうか、はっきりしていない。またそのような空間的で、一定ではなく、変化する放射を測定する方法には、はっきり定義された基準がまだない。
ここからもちろん、放射の再現可能な測定という、新しい挑戦も生まれる。その解決法はまだ開発途上である。

ビームフォーミング


(出典:ドイチェ・テレコムAG)




5Gをサテライトでも?
地上での5Gシステムと並行して、数千個のサテライトを使って世界中どこでも使える5Gを供給するシステムも作られる、という情報が、いくつもインターネットで徘徊している。
今までにすでに世界中で、その多くはもう何年も、あるいはそれどころか何十年も、サテラ イトによるテレコミュニケーションのプロバイダが33ある。イリジウム、skyDSL、STARDSL などである。
さらにいくつかのサテライトシステムが計画されている、あるいは実験されているところで、これらは主にLEO サテライトLow Earth Orbit 地球に近い周回軌道)と呼ばれるもので、地上から約1000km - 1400㎞のところを周回している。サテライトが地球を一周するには、この高さで約100分要する。可視性と地上局との無線コンタクトは、そのため一周につき最高で15分である。それに応じて、一つの周回軌道にサテライトがつながって並んでいなければならない。

ここでいくつか例を挙げよう:
― OneWeb satellite constellation:もともとは882個のサテライトが計画されていたが、それが現在では600個に削減された。テストサテライトの最初のスタートは、2018年12月から2019年3月以降に延期された。

― LeoSat:108個までのサテライトが計画されている。それらはお互いに光学的データ移送(レーザー)により、つながっている。2019年にテストサテライト(Early Birds)二つがスタート、他のサテライトのスタートは2021年、2022年以降世界中で営業することが計画されている。

― V-Band Konstellation (ボーイング):ボーイング社は米国のFCC(Federal Communications Commission、連邦通信委員会、ドイツの連邦ネットワーク庁に当たるもの)に、1396個から2956個のLEOサテライトを営業する無線ライセンスを申請した。

― LeoVantage (Telesat):2018年にテストサテライトがスタートした。

― O3b Networks:赤道周辺のインフラ構造が整っていない地域で、約30億人にインターネットと通信サービスを供給することを意図している。計画されているのは、7825kmの高さのMEO(Medium Earth Orbit)サテライト16個である。最初の4個は2013年にスタートし、2014年には8個がそれに続いた。最後の4個は2018年である。

― Eurostar E3000 Satellite (Airbus Defense and Space):これに関しては、インターネットで詳しい情報が見つからない。

― Space X:サテライトを最終的に4400個まで拡張することが計画されている。2024年にはそれを到達する計画である。Space Xはイーロン・マスクがCEOかつCTOである、アメリカの宇宙航空企業である。(マスクは電気自動車を製造するテスラの社長であり、目を見張るマーケティングで有名である)。Space Xのウェブサイトではしかし、このプロジェクトについて何も見つからない。

上に述べたサテライトシステムは主に、すでに開発の進んだ地域で、個人で移動通信を使用する人を対象にするのではなく、携帯無線の供給が悪いあるいは欠けている辺鄙な地域に供給する国のため、そして船舶、飛行機に無線を供給するためのものである。対象グループには、特に会社と省庁も挙げられている。

これらのサテライトシステムは、「バックホール」あるいは「バックボーン」としての役割を持つ。すなわち、広範なネットの部分を結びつけ、個々の端末とは直接コミュニケートしない。典型的なシナリオは、へき地で、銅線、光ファイバー、あるいは地上の無線中継でつながっているインターネット接続のないところで、孤立している携帯無線基地局を上位のネットと接続することである。これも将来の5Gシステムに組み入れられるべきものである。
サテライト事業者には、宣伝となると大風呂敷を広げるものもあり、利点として5Gに典型的な低遅延などを挙げる。5Gでは遅延を明確に10m/s以下とすることが要求されており、理想的には1ms前後である。1200㎞の高さにあるサテライトではしかし、電磁波がサテライトを往復する時間でもう2x4ms=8msかかってしまう。電子データ処理による遅延時間がそれに加算される。

サテライトシステムを使うには、特別な、それぞれのシステムのために開発された電話あるいは端末が必要となる。これらは通常地上システムで使われるスマートフォンに比べると、はっきりと無骨で、アンテナはもっと大きい。携帯する機器も接続費用も、地上での移動通信よりずっと高い。使われる10GHz以上の周波数では、距離が大きく、大気中でのパスロスが大きいため、地表での場の強さは、非常に小さい。それに応じて、これは屋外でしか使うことができず、屋内ではアンテナがないと使えない。

IoTは5G以上である
最大の転送速度と容量のために構想された5Gと並び、現在そして将来「モノのインターネット」及び「スマートX」(例:スマートホーム、スマートシティ、電気・水・ガス・熱などのスマートメーター、今までには考えられなかったような応用)のために、無線を利用する数が大幅に増加する。これらは比較的大きな間隔をおいて、時たま小さな、あるいは非常に小さなデータを移送する。しかし大量の「参加者」がいる。これは人間ではなく、技術的センサーや機器である(いわゆるM2M=Machine-to-Machine Communication)。数年内にはIoT機器が、世界で数百億個の領域になることが予想されている。そのためには今日すでに、現存の2Gと4Gの移動通信網が、1GHz以下の領域で、特別な伝送サービスを使って使われている。例を挙げると:

― NB IoT(LTE Narrowband IoT):帯域が200kHzしかないLTEの一種で、無線セル一つにつき5万個までの接続。

― LTE-M(LTE for Machines)LTE-M2M(LTE Machine-to-Machine)あるいはLTE-MTC(LTE Machine-Type Communication)とは、1.4MHzの帯域で無線セル一つにつき2万個までの端末、到達距離は2.5kmまであるいは5kmの、LTEのバリエーション。

― EC-GSM-IoT(Extended Coverage GSM IoT)は、GSMのバリエーションで、GSMに典型的な帯域である200kHz で到達距離15kmまで。

既存の移動通信システムと並行して、ほかのIoT無線システムが、ライセンスの要らないISM-/SRDバンド 433MHzと860-870MHzで地方自治体のレベルで構築されている。通常地方のエネルギー供給会社が主体となっている。例えば:

― LoRaWAN(Long Range Wide Area Network for IoT):到達距離は10km以上まで。

― Sigfox LPWAN(Sigfox Low-Power Wide Area Network for IoT)極度に狭いバンド信号、無線セル一つにつき100万個までの端末、障害物のないところでは30-50kmの到達距離、市街区では3-10km)。

このプロセスはとほとんど、一般住民と移動通信に批判的なグループの気づかないところで進んでいる。

5Gの利点である非常に高い転送速度と極端に短い遅延は、たいていのIoTとスマートXを使用する際、全く必要でない。これはフォーミュラ1のスポーツカーの性能のようなものである。しかしIoTはこれらすべてを必要とせず、二台のトレーラーを満載して引っ張るトラクターに必要なものがいるのだ。共通する背景にあるのはもちろん900という馬力で、これをできるだけ軽い車を使って高速で小回りの利く運転をするか、あるいは大根を大量輸送するためにゆっくり走るか、ということである。

Dr.マルティン・フィルニッヒ
工学博士、IBN バウビオローゲ
出典:バウビオロギーマガジン